城端線トラムトレインLRT勉強会 2022/02/05(土)

2022.02.20

2022/02/05(土)、高岡市戸出吉住の民泊「きょんさ」さんにて
「城端線トラムトレインLRT勉強会」を開催しました。

新型コロナ新規感染者数の増加と雪の影響で直前キャンセルが相次ぎましたが
感染対策を取って無事に開催することができました。

参加者、関係者の皆さんありがとうございました。

発表の様子 その1。4フループにわかれて互いの考えを出し合いました。

  

JR西日本さんからのLRT化検討の提案(2020/01/29)から丸2年が経過し、
富山県のほうでも「城端線・氷見線LRT化検討会」が設置されました。

地域の関心が高まっているためか、勉強会には地元新聞社の記者さんや、
富山県議3名、高岡市議2名にもご参加いただき
一緒に勉強させていただきました。

内容は、
・富山大学都市デザイン学部 本田豊教授による講演
及び
・ワークショップ(お題 2問)
でした。

  

発表の様子 その2

  

途中、田んぼに落ちかかったクルマをみんなで押して道へ戻したりもしました。

  

主催:路面電車と都市の未来を考える会・高岡(RACDA高岡)

  

RACDA高岡 副会長による挨拶

  

「経営資源を関西に集中させるため、
 JR西日本さんとしては中国地方や北陸地方のローカル線は手放したいだろう」
という話を噂として聞いています。

これに対し、城端線・氷見線の沿線4市(南砺市、砺波市、氷見市、高岡市)の反応として、
危機感を持って市の未来を考えておられる南砺市さんからは
新聞紙面上でもLRT化に前向きと受け取れる発言が見られますが、他の3市からは

「LRT化は県が主導してほしい」
「LRT化はしないで、JR西日本さんに引き続き経営を担ってもらいながら利用促進を図るべき」
「低床車両は積雪が多い砺波地方には不向き」

と言った話が出ているようです。

  

① LRT ≠ 低床車両

  

まず「LRT」とは、
富山ライトレールのような「低床車両」のことさす言葉ではありません。

LRTとは交通システムを表す言葉です。

交通まちづくり系の人たちの間でも
「城端線は低床車両じゃないほうが良い」という意見が多数派です。

では「LRT」の定義は具体的にはどうなっているのか?

実は日本でもその定義がしっかりとは定まっておらず、
欧米でも「便利な新しい交通システム」程度のもののようです。

  

RACDA高岡では、富山大学 本田豊教授が提唱する「3つの近代化」

 1. 運行の近代化(ダイヤ・頻度・料金)
 2. 路線の近代化(新駅の設置・まちづくりとの連携)
 3. 車両の近代化(静かに・速く・便利に)

を「城端線・氷見線のLRT化」として考えています。

  

② このまま放っておいて良い?

  

城端線・氷見線は、今すぐに廃線となってしまう可能性は低いのですが、
このままずるずる沿線人口が減っていった後では、
(利用者見込み数的に)LRT化が困難になっていきます。

  

・人口が多い地域     :通常の鉄道が最適
   ▽
・人口がちょっと少ない地域:LRTが最適    ← 城端線・氷見線は今ココ!
   ▽
・人口が少ない地域    :通常のバスが最適
   ▽
・人口がさらに少ない地域 :デマンドタクシー、一般タクシーが最適

    

将来、さらに沿線人口が減っていき、いざ城端線・氷見線を廃止にすることになった場合、
鉄道の代わりの代替バスが走ることになります。

が、運行頻度や、バスの乗車定員の問題ではなく、
多くの人は「地方の路線バスにはなるべく乗りたくない」です。

  

・線路が見えないのでバス路線がどこを通っているのかが見えない。→ 乗ろうと思わなくなる。

・線路、駅が見えないので、どこへ行けるのかわからない。

・遠回りばかりで、なかなか目的地へ行けない。イライラする。

 今、加越能バスさんの時刻表(令和3年12月1日改正版)を確認してみましたが
 戸出駅前-高岡駅前間は、路線バスでは37~41分かかります。
 城端線では約14分で行ける場所が、バスだと約40分かかるのです・・・普通の人は乗れません。

  

・頻繁に発車、停車を繰り返すので酔う。

・時刻表の通りにバスが来ない。(もう先に行ってしまった?運休してる?不安になる。)

  

などのことがあり、
代替バスは全国どこでも当初見込んでいた利用者数を
大きく下回っています。

で、どんどん便数が減らされていき、
移動が不便になった地域では さらに人口減少が加速していきます。

近隣では、
砺波市の庄川町、南砺市の井波地区と、小矢部市津沢・石動地区を
結んでいた加越線(1972年廃止)の沿線や、
石川県奥能登を走っていた能登線(2005年廃止)沿線地域での
暮らし豊かさの度合い低下による人口減が知られていますが
全国的にも同様の傾向がみられます。

  

鉄道が廃止になっても、それを上回って便利で暮らしやすい地域となり
人口が増えている地域もあります。働く場所、暮らす人が増えるかどうかは
地域の魅力の「掛け算」だと思います。

  

③ 今がチャンス!

  

「城端線・氷見線は赤字ローカル線だから
なるべく地元は関わらず、JR西日本さんに任せておくほうが良い。」

という声を聞くこともあります。

が、実は城端線・氷見線は、普通の地方の民間鉄道会社であれば
単独で黒字も見込めるほどの多くの乗客が利用している路線なのです。

JR西日本さんの中国地方や、四国や北海道で廃線も視野に入っているような
赤字ローカル線とは違い、
「地元地域のために知恵を絞り、汗をかきたい」というヤル気と能力がある経営者がいれば
単独でも経営していけるレベルの比較的優良な路線なのです。

  

で、このまま放っていくとジリ貧になっていくのも見えているのです。

なので「今が」チャンスなのです。

   

どの程度信憑性があるのか、私にはわかりませんが、
富山県が行ったアンケート調査をもとにした予測では、
このまま放置していった場合、2040年には利用者の数が29%減少
今、LRT化すれば、46%増加するとのことです。
    

・高齢の方々がより移動できるようになり、より健康で暮らせるようになる。
  → 自治体の高齢者福祉関連の支出が抑えられる。(富山市の例)

  

・沿線に企業が進出しやすくなり、居住する人も増えやすくなる。
  → 不動産価値が上がり、自治体の税収もアップする。(富山市、宇都宮市の例)

  

・高岡市中心街地を歩く人が増える。南砺、砺波、氷見市へ行く人も増える。

  (LRT化されれば、少なくとも私は、より城端・氷見線を利用するようになります。)

  

 高岡駅~御旅屋通り周辺にどれだけ税金を投入しても、
 「どのような手段でそこへ行くのか」
 があまり考えられていない現状では、残念ながらその投資効果は限られてしまっています。

  また、南砺、砺波、氷見、高岡の各市民の相互の交流が盛んになることで、
 新たな何かが生まれるかもしれません。

    

城端線(旧・中越鉄道)は、明治30年に日本海側で最初に開業した民間鉄道です。

もともと日本海側でも有数の沿線人口が多い地域であり、
「先進的なものに取り組もう」という気概のある地域でもあります。

    

どのくらい「今がチャンス」なのか、県や、
沿線自治体の方々に十分に伝わっていない気がしています。

    

市民からの声が小さければ、行政の方々は動きづらい、というのも理解できます。

    

現在の高齢者の方々、
これから運転免許証を返納する現役世代のためだけでなく、
これまで豊かに発展してきた先人らの想いが宿る私たちの故郷を、
子どもたち、そしてさらに次の世代の人たちのために、

「今」、 みんなで、もう少し、考えていけたら・・・と考えています。